片頭痛について

片頭痛について

 

疫学
日常診療で,頭痛はもっともよく遭遇する疾患の一つですが,そのなかでも片頭痛の有病率は欧米の8〜12%と比較するとやや低めですが,わが国の片頭痛有病率は8 .4%で、高血圧患者の罹病率にも迫る約840万人の存在が推定されています。
また前兆のある片頭痛2.6% 、前兆のない片頭痛5.8% で、20~40 歳代の女性で高く、未成年者における有病率は高校生9.8%. 中学生4.8%です。

原因
片頭痛の病態生理はいまだ確定的な機序は示されていませんが,従来から血管説,神経説および三叉神経血管説が片頭痛の病態仮説として提唱されてきました。
現在では,三叉神経血管系,脳幹部の下行性疼痛制御系および各種神経ペプチドが片頭痛に重要な役割を果たしていると考えられています。
特にセ口トニンおよびその受容体、三叉神経終末から放出されるcalcitonin gene-related peptide(CGRP) が片頭痛発作の疼痛に密接に関与している可能性が高いと言われています。一方,片頭痛の前兆は皮質拡延性抑制(CSD)による現象と考えられています。

片頭痛の誘発因子(疫学調査より)としては下記のものがあります。
・精神的因子ストレス:精神的緊張,疲れ,睡眠(過不足)
・内因性因子:月経周期
・環境因子:天候の変化,温度差,頻回の旅行,匂い
・ 食事性因子:空腹,アルコール(他の食品群は個人によって反応が異なるため,特に摂取を制限するよう指導する必要はありません)


治療
片頭痛の治療は大きくわけて2種類あります。頭痛発作がおこった時になるべく早く頭痛鎮めるための治療法を急性期治療(頓挫療法)といいます。もうひとつは頭痛がある日もない日も毎日お薬を飲んで頭痛発作を起こりにくくし、また頭痛発作が起こっても軽くすむようにするための予防療法です。
発作回数が月に数回以内で、片頭痛発作による生活への悪影響があまりなければ急性期治療を中心にします。発作回数が多い場合や、生活への影響が強ければ急性期治療と予防療法を組み合わせて治療をします。
予防療法の効果が現れるまでに、通常1~2ヵ月の期間がかかりますので、少なくとも2ヵ月は継続してみて、効果を判定してください。
急性期治療(頓挫療法)には市販薬も含め鎮痛薬が広く使用されています。2000年以降わが国でも、片頭痛に有効なトリプタン系薬剤(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンなど)が使用できるようになり、多くの片頭痛患者さんが恩恵をうけています。

QOL
片頭痛患者の健康寿命およびQOL は非頭痛健康対照と比較して,身体面,心理面,社会的機能などにおいて有意に阻害されています。ほかの慢性疾患患者と比較した場合領域によっては片頭痛患者のほうがより高度にQOL が阻害されています。

予後
片頭痛患者の多くは加齢に伴い改善傾向を示しますが、年間約3% の症例では病状が悪化することが知られ,頭痛発作頻度や頭痛を認める日数が増加します。
片頭痛の慢性化に関連する危険因子には,①先天的要因,②頭痛の病状,③共存症,④外的要因,が知られていますが,特に③と④には是正可能なものが含まれるため,治療介入を行うことで予後改善に結びつく可能性があります。

①先天的要因
1.家族歴
母親に慢性連日性頭痛があると子の発症リスクが上昇します。
2. 出生前曝露
胎児期における母親の飲酒と喫煙がリスクとなります。
②頭痛の病状
1.ベースラインにおける頭痛を認める日数
頭痛を認める日数が多いと慢性化しやすいです。
③共存症
1.肥満
慢性連日性頭痛(慢性片頭痛を含む)の発生は,BMI が25~29 で正常体重者と比較して3 倍、30 以上で5倍リスクが高くなります。
2. いびきと睡眠時無呼吸
3. 精神疾患やストレスの多い生活
うつや不安などの気分障害と慢性片頭痛の関連が指摘されています。大きなライフイベント(引っ越し・失業など)も片頭痛変容の引き金になります。
4. 顎関節症
④外的要因
1.過剰な鎮痛薬使用
薬物乱用頭痛による頭痛増悪ではなく、オピオイドとバルビツール酸酸の使用は片頭痛慢性化のリスクになります。トリプタンとNSAIDsは月に10 日以上頭痛を認める患者に投与した場合には慢性化に寄与します。
2. カフェイン摂取
3. 頭部外傷


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